PROJECTS地域イノベーション・エコシステム形成プログラム

つくばイノベーション・エコシステムの構築
「技術×事業化スキル」

TGI×茨城県×文部科学省

TGIと茨城県が提案し2016年度に採択された文部科学省補助事業「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」では、将来大きなビジネス展開が見込まれる地域の有望なコア技術の事業化によって、新たな国富を創出するとともに、日本型イノベーション・エコシステムの形成と地方創生を実現することを目指しています。

つくばでは、3つの事業化プロジェクト「次世代(偏光)OCT産業の創造」、「世界中の眠りに悩む人々への睡眠計測検査サービス事業」、「グラフェンスーパーキャパシタによるIoH向け安全蓄電デバイスの事業化」を推進しています。また、基盤構築プロジェクトとして、次世代プロジェクト候補の発掘と育成にも力を入れています。

事業プロデューサーとして、豊富な経験・ノウハウを持った山海嘉之筑波大学教授が技術の事業化をマネジメントしています。

文部科学省地域イノベーション・エコシステム形成プログラム

■事業化プロジェクト1
「次世代偏光OCT産業の創造」

(筑波大学教授 大鹿哲郎)

早期診断・治療による失明リスク低減を目指す

視覚障害による9兆円の社会損失は、超高齢化でさらに深刻な社会課題になると懸念されています。事業化プロジェクト1では、失明リスクの高い眼科疾患を超初期発見できる眼科用偏光OCTの事業化開発に取り組んでいます。病理顕微鏡OCT、眼底OCT、前眼部OCTの3つのサブテーマに分けてそれぞれのテーマでの事業化を目指します。

事業の進捗状況
PJ1ではこれまで病理顕微鏡OCT、眼底OCT、前眼部OCTの3つのサブテーマに取り組んできました。昨年度までの開発で病理顕微鏡、眼底の各事業化の目処が立ち、筑波大学で技術移転のための本格的な共同研究を行っています。前眼部OCTについては、瘢痕化した組織をカラー画像として明確に表示できるという偏光OCT技術を適用した緑内障ブレブ再建手術の計画策定と円錐角膜症の診断のそれぞれの研究開発を行ってきました。今年度からは前眼部偏光OCTに集中して、有効性を示す患眼データの取得と解析を行っています。今年度中に、患眼データ取得の体制をさらに整備して、早期に本技術が社会に幅広く普及することを目指します。

■事業化プロジェクト2
「世界中の眠りに悩む人々への睡眠計測検査サービス事業」

(筑波大学教授 柳沢正史)

AIによる完全自動睡眠計測・解析

国民の5人に1人は何らかの睡眠障害を抱えており、これによる経済損失は国内だけで年間3兆5千億円といわれています。事業化プロジェクト2では、誰でも家庭で容易に使用できる完全自動の高速・高精度睡眠計測システムを開発して、一般医療機関や睡眠に悩む一般ユーザーへ睡眠検査サービスを提供することを目標に、ヒト脳波自動解析プログラムおよび脳波測定デバイスの開発を進めています。睡眠研究の世界的権威・柳沢教授の下、(株)S’UIMINが2017年に設立され、事業の成果が期待されます。

脳波測定イメージ

完全自動睡眠計測システム

事業の進捗状況
睡眠時の脳波の解析によって睡眠ステージを自動判定するAI脳波解析プログラムの開発には、熟練した臨床検査技師による解析結果を多数収集して、教師データとすることが必要です。教師データの学習により作成したAI解析プログラムによる睡眠ポリグラフの脳波解析は、臨床検査技師と比較して、一致度が87.1%、κインデックスが0.82でした。この数字は、最終的な実用レベルに達していることを示しています。脳波測定デバイスの開発に関しても、さらなる測定精度の向上を目指しています。本プロジェクトの事業化の取り組みとして設立された(株)S’UIMINは目標額を上回る資金調達に成功し、世界中の眠りに悩む人々への睡眠検査サービス事業の早期スタートに向けて、着実に準備を進めています。

■事業化プロジェクト3
グラフェンスーパーキャパシタによるIoH向け安全蓄電デバイスの事業化

(物質・材料研究機構 主席研究員 唐捷)

Internet of Human (IoH) を身近に

独自の蓄電構造 独自の蓄電構造

つくばの独自技術「グラフェンスーパーキャパシタ」は、発火や発熱のリスクが極めて低く、リチウムイオン電池の100倍の急速充電が可能で、100倍以上の回数の繰り返し耐性を有する蓄電デバイスとなります。この安全性・超急速充電・耐久性の特長をさらに伸ばし、IoH向け安全蓄電デバイスとして早期事業化を目指しています。

事業の進捗状況
2019年度新たに事業化プロジェクトとした「グラフェンスーパーキャパシタ」は、NIMSが開発したグラフェン/CNT/グラフェンの独自構造によってスーパーキャパシタの蓄電性能を飛躍的に高めた蓄電デバイスです。これまで基盤構築プロジェクトとしてPOC支援をしてきましたが、2019年度から事業化PJとして本格的に事業化支援を開始しました。グラフェンスーパーキャパシタは、ニッケル水素電池並の蓄電量を持つ上にリチウムイオン電池の数百倍の超急速充電・超高出力が得られます。繰り返し充電(サイクル寿命)もリチウムイオン電池の数百倍です。さらに、充電時出力時のいずれでも発熱しないという安全面での特長を備えています。現在、IoH用蓄電デバイスに向けて多層化開発、量産化検討に取り組んでいます。

■基盤構築プロジェクト

基盤構築プロジェクトでは、つくば地域から間断なくイノベーションを創出するため、大学・研究機関が保有する事業化有望シーズの発掘・育成と人材育成支援に取り組んでいます。

事業化を見据えた事業プロデューサーによる事業計画のブラッシュアップ、事業化アイディアを顧客視点の製品とするための市場・競合・特許等調査の実施、プロトタイプ作成支援、展示会の斡旋や、企業と意見交換の場の設定といった概念実証(Proof of Concept)の段階における集中的な支援活動を行っています。

既に支援を行ったテーマの中から、ベンチャー設立、企業との共同研究にも至っています。

●平成31年度(令和元年度)支援実績

・「脳波解読による認知機能評価・改善システムの事業化」 長谷川 良平 (産業技術総合研究所) 
・「安価・小型の電子顕微鏡をつくるためのナノテクノロジーに基づく電子銃」 ZHANG Han (物質・材料研究機構) 
・「金属インク微細回路パターン描画システムの事業化」 三成 剛生 (物質・材料研究機構) 
・「IoTセンサを補完する弾性構造色センサシステム」 不動寺 浩 (物質・材料研究機構) 
・「ヘム含有ポリマーのワクチンアジュバントとしての商品化」 山﨑 智彦 (物質・材料研究機構) 
・「グラフェンスーパーキャパシタの実スケールレベル製造方法の検討」 唐 捷 (物質・材料研究機構) 
・「文化財の三次元デジタル保存と全天球投影による風景体験の実現」 遠山 寛人 (筑波大学) 
・「レドックスポリマーの事業化に向けた概念実証」 長崎 幸夫 (筑波大学) 

●平成30年度支援実績

・「高品質・量産化グラフェンにより つくばから事業化」 長谷川 雅考 (産業技術総合研究所) 
・「遮光と眺望を両立する調光ガラスの開発」 樋口 昌芳 (物質・材料研究機構) 
・「多様な条件で微小領域の熱物性を測定する」 馬場 哲也 (物質・材料研究機構) 
・「健康的な食の寿命延伸のための嚥下計普及事業」 鈴木 健嗣 (筑波大学) 
・「レドックスポリマーの事業化に向けた概念実証」 長崎 幸夫 (筑波大学) 

●平成29年度支援実績

・「グラフェン/CNTスーパーキャパシタの事業化に向けた概念実証」 唐 捷 (物質・材料研究機構) 
・「薬剤デザインによる創農薬の事業化に向けた概念実証」 西ヶ谷 有輝 (農業・食品産業技術総合研究機構) 
・「モイスチャーセンサーの事業化に向けた概念実証」 川喜多 仁 (物質・材料研究機構) 
・「レドックスポリマーの事業化に向けた概念実証」 長崎 幸夫 (筑波大学) 

●平成28年度支援実績

・「レドックスポリマーの事業化に向けた概念実証」 長崎 幸夫 (筑波大学) 
・「スマートポリマーの抗がんメッシュの概念実証」 荏原 充宏 (物質・材料研究機構)